スタッフコラム

10年前の恐怖 リーマンショック

 

近づく消費税10%。

 

消費税10%の増税は当初平成27年10月1日と予定されていました。しかし、平成29年4月1日に延期され、そこからさらに平成31年10月1日へと延期されました。

 

2度あることは3度ある!ということで、また延期するのではないだろうか?とも考えられる中、安倍首相は2度目の延期表明時から「再延期はない」「リーマンショック級の事態が起こらない限り、基本的には引き上げていきたい」繰り返し発言しており、先日も同じことを発言しておりました。

世界的に大規模な金融危機が起こらない限り3度目の延期はないということでしょう。

 

しかし、現在、お隣の中国の不動産価格は上昇を続けており、不動産バブルは史上最大ともいわれています。

そんなバブルがはじけた時には、大規模な金融危機が起こるかもしれませんね。

 

さて、安倍首相の言葉にありました「リーマンショック」

消費税の今後の動きにも影響を与えるような今世紀最大の金融危機というのはどんなものだったのか?今回はこの「リーマンショック」について分かりやすく解説していきたいと思います。

 

 

リーマンショックとは、短くまとめると2008年9月、投資銀行リーマン・ブラザーズサブプライムローンの証券化商品を大量に抱えていたところ、住宅バブルが崩壊株価が急落し経営破綻。それが引き起こした金融危機」のことです

ちょっと分かりにくいですね。少しずつ紐解いていきましょう。

 

サブプライムローンとは?

リーマンショックの起こる数年前よりアメリカでは住宅を買うことが流行していました。住宅の価値はどんどん上がる住宅バブルの状態で、何としてもお金を借りて住宅を買いたいという人々で溢れていました。

そんな時に住宅ローン会社が考えたのが、「サブプライムローン」です。信用力の低い人達でも利用できるローンで、金利を高く設定したものです。

そんな高金利な「サブプライムローン」を無職の人にまでお金を貸していたということでビックリです!

しかし、なぜローン会社は返済見込みのないような人にまでお金を貸したのでしょうか?

 

ローン会社はお金を貸す条件として、担保にその住宅を設定しました。返済がなくても、その住宅をローン会社が貰えるという仕組みです。その時には価値の上がった住宅を売れ

ば儲かる!だからお金は返済されなくても大丈夫!こういう狙いがあったからです。

またお金を借りた人達も、返せなくなったら住宅を売ればプラスになるし大丈夫!という、お互いに楽観的な考え方だったのです。

 

しかし数年後、長らく続いた住宅バブルも崩壊しました。

家を持つ人が増え、住宅の需要が減り価格がドンと下がりました。ローン会社は、お金の回収ができなくなってしまったわけです。

「いつまでも住宅の価値は上がり続けるものだ」という人々の思い込みにより、実態とかけ離れた経済活性化、それがバブルです。

そして、それが思い込みだったことに気づいたことにより、急激な信用収縮、投資意欲の急激な減退、これがバブルの崩壊ですね。

 

そして、このバブル崩壊により最も被害を受けたのが最初の一文でご説明しました「サブプライムローンの証券化商品を大量に抱えていた」アメリカ第4位の投資銀行リーマン・ブラザーズです。

 

 

さて本題のリーマンショックとは?

 

アメリカの住宅バブル中、リーマン・ブラザーズその他の投資銀行は住宅ローン会社から「債権」(お金を返してもらう権利ですね)を買い漁っていました。

そしてこの債権をバラバラにし、リスクを分散化することを目的として、他の金融商品と組み合わせ、証券化しました。

今だから言えることかもしれませんが、この証券化商品、サブプライムローンという不安要素の塊でしかないようなものですよね。

しかし、そんな商品を、企業の評価を専門とする会社S&P等によりAAA格(信用力が最も高い)のお墨付きをいただいたのです。

大手信託銀行が売り出したこと、AAA格の証券化商品だと評価されたということで、この証券化商品は順調に売れていったわけです。

 

それから数年後不動産バブルの崩壊が起こりました。

そして特に損害を拡大させていった原因が人々の不安心理でした。サブプライムローンはいろいろな証券化商品に組み込まれており、不安にかられた人々は「もしかしたら自分の商品にもサブプライムローンが含まれているかも」「この商品も危ないのではないのか」と、あやしいと思うもの、問題なさそうなものまで、証券化商品を投げ売り始めたのです。

リーマン・ブラザーズは64兆円という多額の借金を抱え倒産してしました。

 

またこれにより、投資家たちは株や証券から手を引き、一斉に売り、株は大暴落しました。

車のローンも組みにくくなり、自動車が売れずアメリカの大手自動車会社は倒産し、日本の自動車会社も大きな損害を受けました。

消費税の今後の動きにも影響を与えるような今世紀最大の金融危機のリーマンショック。

消費税どころかすべての税金に影響しそうですね。

大規模な金融危機による不景気の中の増税は、追い打ちをかけるかのように経済悪化にますます拍車がかかってしまいますし、リーマンショック級の出来事が起これば、安倍首相のおっしゃるとおり、増税延期はごもっともです。

 

そんな消費税は景気の影響を受けにくく、税収が経済動向に左右されにくい安定した税金と言われています。

しかし前回の平成29年4月1日への増税延期時においては「景気に関係なく絶対上げる」と宣言していたにもかかわらず「世界経済のリスク」ということで世界のせいだ、と少し苦しい増税延期理由としていました。

社会保障制度の財源確保を目的とした消費税。その増税が遅れることにより、社会保障費の不足がますます悪化の一途をたどっています。

消費税増税、その負担に見合う社会保障の充実・安定になっていくことを願いたいです。