スタッフコラム

【贈与税】令和6年分贈与税確定申告マニュアル②

皆さん、こんにちは!

 

今回は令和6年分贈与税の確定申告について、改正に伴い注目を浴びている「相続時精算課税」制度を解説いたします。相続時精算課税を選択して届出書を税務署へ提出すると取り消すことができず、「暦年課税」制度へは戻れませんので注意が必要です。初めて確定申告される方のご参考になれば幸いに存じます。

 

相続時精算課税」制度を適用できる場合(年齢は贈与年の1月1日現在)

 相続時精算課税の選択に係る贈与者(「特定贈与者」といいます。以下同じです。)から贈与を受けた財産の価額の合計額が基礎控除額(110万円を超えるとき ※令和6年分の贈与から新設

・贈与者 → 60歳以上の者(父母や祖父母など)
・受贈者 → 18歳以上で、かつ、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人又は孫

 

[贈与税]

(1)贈与財産の価額から控除する金額

 ① 基礎控除額(注)毎年110万円

 なお、同一年中に2人以上の特定贈与者から贈与を受けた場合の基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格であん分します。

 ② 特別控除額 2,500万円

 なお、前年までに特別控除額を使用した場合には、2,500万円から既に使用した額を控除した金額が限度額となります。

(2)贈与税額

 基礎控除額(注)および特別控除額を超えた部分に対して一律20%の税率で計算します。

(3)相続時精算課税選択届出書

 相続時精算課税を選択しようとする受贈者は、選択をしようとする贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して、「相続時精算課税選択届出書」を提出しなければなりません。 

 なお、 この届出書には受贈者の戸籍の謄本または抄本その他の書類で、次の内容を証する書類を添付しなければなりません。

 ① 受贈者の氏名、生年月日

 ② 受贈者が贈与者の推定相続人または孫であること

 また、贈与を受けた財産の価額が110万円を超えるなど、贈与税の申告書を提出する場合には、「相続時精算課税選択届出書」は贈与税の申告書に添付して所轄税務署長へ提出する必要があります。

 

[相続税]

 贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額贈与時の価額から基礎控除額(注)を控除した残額)を加算して相続税額を計算します。その際、既に支払った贈与税相当額を相続税額から控除します。なお、控除しきれない金額は還付を受けることができます。

 なお、自宅等の敷地について相続税では小規模宅地等の特例がありますが、これを相続時精算課税による贈与をした場合には、相続時にはもはや相続財産ではないため小規模宅地等の特例の適用はありませんのでご注意ください。

 

(注)令和6年1月1日以後に相続時精算課税に係る贈与により取得した財産について適用されます。そのため、令和5年12月31日以前に相続時精算課税に係る贈与により取得した財産については、基礎控除額は控除されません。

 

 

住宅取得等資金の贈与を受けた場合」の相続時精算課税選択の特例

 父母や祖父母などからの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税制度を選択することができます。

 なお、一定の要件を満たす場合には「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(省エネ等住宅:1,000万円、左記以外の住宅:500万円」と合わせて適用することができます。

 

(1)受贈者等の要件

  贈与を受けた時に (子や孫など)である推定相続人であること又は贈与を受けた時に贈与者の孫であり、かつ「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の受贈者等の要件を満たしている必要があります。

(2)住宅用の家屋の新築、もしくは取得、または増改築等の要件

 「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等又は住宅用の家屋の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅用の家屋の取得又は増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含みます。また、対象となる住宅用の家屋は、日本国内にあるものに限られます。

 

次回は「令和6年分贈与税確定申告マニュアル③」として、今回ご紹介した「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」について解説いたします。贈与により取得した金銭で新築等する住宅用の家屋には、詳細な要件があります。

 

以上、令和6年1月1日以後の相続・遺贈による財産の取得から税制改正に伴い、「相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算対象期間の延長」や「相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除の創設」等が行われたことに伴い、相続税・贈与税の仕組みが非常に複雑になっています。備えあれば患いなしで、相続税対策は早ければ早いほど節税効果が期待できます。

 

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〈出典〉国税庁ホームページ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm