スタッフコラム

災害による優遇措置

 

皆さんこんにちは!

 

夏も終わり秋が来ますね。とは言うもののまだまだ暑い日は続きそうです。

また、今年の夏は暑いだけでなく日本全国で「ゲリラ豪雨」に見舞われました。

 

このゲリラという言葉はスペイン語で「小戦争」という意味です。

ナポレオン軍がスペインを攻めた時に、スペインの人達がナポレオン率いる大軍を何とか苦しませようと少人数で神出鬼没の攻撃を繰り返したことから、敵の予想できない場所に突然現れて相手をかきまわすことをゲリラといい、又はゲリラ戦法というようになりました。

 

私もこの「ゲリラ豪雨」という一瞬の豪雨により幾度となく洗濯物に多大な被害をうけました。

短時間に不意をついての豪雨、まさに雨のゲリラ戦法ですね。

 

その他にも関東では大きなヒョウが降り屋根が壊され、日本各地では豪雨による土砂崩れ等の自然災害が多発しました。

 

そんな時に適用ができる税金の優遇措置がありますので少しご紹介いたします。

 

所得税の雑損控除

 

災害、盗難、横領により、資産に損害を受けた場合に、所得税が軽減されます。

 ①雑損控除の対象となる資産の範囲は?

 生活に通常必要な住宅、家財など

(事業用の資産、通常生活に必要でない別荘、1個又は1組の価額が30万円を超える書画・骨董・貴金属などは対象になりません)

 

②損害の原因は?

・震災、風水害、雪害、落雷等の自然災害(台風や集中豪雨による被害も含まれます)

・火災、鉱害、火薬類の爆発などの災害(放火やその消火作業の放水による被害も含まれます)

・害虫による異常な災害(具体的なものでは白アリ駆除の費用が該当します。ただし、被害を事前に予防する費用は含まれません)

・盗難、横領(詐欺や恐喝による被害は対象になりません)

 

 ③控除額は?

 次の算式⑴・⑵のいずれか多い金額です。

 ・算式⑴

  差引損失額-(総所得金額×10%)

 ・算式⑵

  差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

 

 ※差引損失額とは資産の損害金額(災害直前の時価から災害後の時価控除した金額)と災害関連支出の金額の合計額から保険金などにより補てんされた金額を控除した金額です。

 ※災害関連支出の金額とは災害により滅失した自宅、家財などの取り壊し又は除去するために支出した金額です。

 

また1年で控除しきれない場合は3年間繰り越すことが認められます。

 

④年間所得が1,000万円以下の人は、災害減免法という方法も選択できますが、雑損控除災害減免法いずれか有利な方の選択適用になります。

 

 

災害減免法とは?

 

災害によって受けた損害金額がその損害を受けた住宅、家財の時価の1/2以上の場合は、災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減されるか又は免除されます。

 

・所得金額の合計額が500万円以下の場合

 …所得税の額の全額が免除

 

・所得金額の合計額が500万円超750万円以下の場合

 …所得税の額の1/2が軽減

 

・所得金額の合計額が750万円超1,000万円以下の場合

 …所得税の額の1/4が軽減

 

注意点!!

雑損控除は控除しきれない金額を3年間繰り越すことができますが、災害減免法は繰り越すことができません。

 また、災害減免法の救済規定は「災害」の場合のみに適用され盗難や横領による損害は含まれません

 

 

では、最後に算式だけでは分かりづらいと思いますので簡単な具体例で見てみましょう。

 

具体例

サラリーマンが所有する住宅や家財が集中豪雨により相当の被害を受けました。

合計所得が800万円、災害直前の資産の時価が1000万円、資産の災害直後の時価700万円、保険金の受取が50万円、修繕費100万円の場合の所得税の計算(復興特別所得税は除いて計算しています)

 

雑損控除の計算(基礎控除38万円のみの適用)

 

算式⑴

(1,000万円-700万円+100万円-50万円)-800万円×10%=270万円

算式⑵

(100万円-5万円)=95万円

算式⑴の方が有利なので270万円を控除額とします。

 

所得税は(800万円-270万円-38万円)×20%-427,500円=556,500円になります。

 

雑損控除を適用すると、所得税が560,100減少します!」

 

災害減免法の計算

 

雑損控除は適用できないので、所得税は(800万円-38万円)×23%-636,000円=1,116,600円になります。

所得金額が800万円なので、1,116,600円の1/4の279,150円が軽減され、災害減免法を適用すると1,116,600円-279,150円=837,450円になります。

 

災害減免法を適用すると、所得税が279,150減少します!」

 

よってこの具体例においては雑損控除の方が有利になりますね。

 

 

 

そのほか控除を受けるには、被害を受けた資産の取得価格や取得時期がわかるもの、支払った費用の領収書などが必要になります。

今回の雑損控除に限らず医療費の支払などの領収書などは、捨てずに必ず保存する癖をつけておきましょう。

 

また、この災害減免法には所得税の他、相続税や贈与税にも適用があります。

 このように災害があった場合には税金の優遇措置があることは覚えておきましょう。

 

税金でお困りのことがあれば税理士法人カオスまでお越しくださいませ。